霜:物の気持ち

写真と一緒に

霜が付いた草
ぼくの命は、 ほんの一瞬。
夜明け前、 空気がキンッと冷える頃、静かに生まれる。

草の葉、木の枝、土の上——
どこに生まれるかは、その時の風次第。

ぼくは、 霜の結晶 のひとつ。
無数の仲間たちと一緒に、美しい模様を描く。
でも、この姿をじっくり見てもらえることは、ほとんどない。

夜が明け、 太陽の光が差し込むと……
ぼくらの時間は終わる。
シュッと水滴になって、 すぐに蒸発してしまう。

次はどこへ行くんだろう?
雲になって、雪になるのかな?
それとも、また霜として、どこかの草の上に降りるのかな?

ねぇ、 たまには朝早く起きて、ぼくたちを見に来てよ。
冬の朝の河原 なんか、最高だよ。

太陽が昇る前の、ほんの一瞬。
ぼくらがキラキラ輝く、その短い時間を——。