三角点:物の気持ち

写真と一緒に

三角点

三等三角点の標石
やぁ、よく来たね。
僕はここ、山のてっぺんにいる三角点。
ずーーーーっと昔から、この場所にいる。
朝日が昇るのも、風が吹き抜けるのも、雪が積もるのも、全部ここで見てきたんだ。

登山者のみんながやってくると、ちょっとワクワクする。
「おっ、今日はどんな人が来るかな?」
足を踏み鳴らし、息を弾ませながら、君たちは僕を目指して登ってくる。
そして、ようやくたどり着くと——

なぜかみんな、僕の上に乗る。

「やったー!山頂だ!」
「登ったぞー!」

わかるよ、達成感あるよね。
でもね……ウッ……重い!!
0.000001mmくらい地面にめり込んだ気がするんだ……(笑)。

それでも、君たちが嬉しそうに記念写真を撮るのを見ると、まぁ、いいかって思う。
だって、誰も登ってこなくなったら、それこそ寂しいからね。

でも、雨の日や嵐の日は、誰も来ないんだ。
あたりは静まりかえり、ただ風の音だけが響く。
そんな日は、ちょっと心細くなる。
だから、また天気のいい日に登ってきてくれると嬉しいな。

僕はいつでも、ここで待ってるよ。
また来たら、今度も……乗るのかな?(笑)