焼きたてパン:物の気持ち

写真と一緒に

焼きたてパン

台の裏に落ちてしまった焼きたてパン
ここは、焼きたてのパンたちが並ぶ、あたたかい場所。
ほんの少し前まで、ぼくもあそこにいた。
パン達がライトの光を浴びて輝く、あの台の上に。
仲間と肩を寄せ合い、おいしそうに並んでいた。

だけど、今は違う。
ぼくは落とされてしまい、台の裏、冷たい床の上。
ひとりぼっちで、誰にも気づかれない場所にいる。

「おーい! ぼく、ここだよ!」

叫んでも、誰も振り向いてくれない。
お客さんの目に映るのは、ピカピカに並べられたパンたちだけ。
店員さんも、忙しそうにしていて、ぼくには気づかない。

みんながぼくの仲間を選んでいくたびに、
ぼくの寂しさはじわじわと大きくなる。

いつか、誰かが気づいてくれるのかな?
それとも、ぼくはここで、ずっとこのまま…?

パンとして生まれたのに、誰にも食べてもらえないなんて、
そんなの、悲しすぎるよ。。。