物の気持ち

写真と一緒に

焼きたてフィナンシェ

焼きたてフィナンシェ ノワ・ドゥ・ブール
どう?美味しそう?
食べたくなるでしょう?(笑

でも、がまん、がまん……。

どんな味がすると思う?
バターの香りがふわっと広がって、しっとり、でも外はカリッと?
それとも、ふんわりとした甘さがじんわり広がる感じ?

まだ食べちゃだめ!

この焼き色、見て。
黄金色に輝くこの表面、香ばしそうでしょ?
ほら、カリッとした角の部分が特にたまらないよね。

たまらないよね?
「いや〜 食べたい!」ってなった?

でもダメ。

写真撮って!美味しそうにね!
SNSにアップして!


じゃあ、お店で待ってるね(笑

これは、広告ではありません(笑

焼きたてフィナンシェ|ノワ・ドゥ・ブール

ロードローラー

眺めのよい場所で寛ぐロードローラー
ぼくは、道を作るとき、地面をギュッと押し固めるのが仕事の重機だ。
重たい体を動かしながら、毎日せっせと働いている。
いまはここで、新しい街を作るために頑張っている最中さ。

……でも、今日は休日。

工事もお休みだから、ぼくものんびり一休み。
見てよ、この景色!
空気は澄んでいて、雲もふんわり浮かんでいる。
遠くの街並みまで一望できる、最高のロケーションだ。

車好きの人なら、自分の愛車をここに停めて写真を撮りたくなるだろうなぁ。
SNS映え間違いなしの絶景スポット!
でも、残念ながらこの場所は工事車両専用。
つまり—— ぼくだけの特権なのだ!!(笑)

ここでのんびりできるのも、今日だけ。
明日からまた、ガタンゴトンと地面を踏み固める日々が始まる。
よし、たっぷり充電したし、また頑張るぞ!

焼きたてパン

台の裏に落ちてしまった焼きたてパン
ここは、焼きたてのパンたちが並ぶ、あたたかい場所。
ほんの少し前まで、ぼくもあそこにいた。
パン達がライトの光を浴びて輝く、あの台の上に。
仲間と肩を寄せ合い、おいしそうに並んでいた。

だけど、今は違う。
ぼくは落とされてしまい、台の裏、冷たい床の上。
ひとりぼっちで、誰にも気づかれない場所にいる。

「おーい! ぼく、ここだよ!」

叫んでも、誰も振り向いてくれない。
お客さんの目に映るのは、ピカピカに並べられたパンたちだけ。
店員さんも、忙しそうにしていて、ぼくには気づかない。

みんながぼくの仲間を選んでいくたびに、
ぼくの寂しさはじわじわと大きくなる。

いつか、誰かが気づいてくれるのかな?
それとも、ぼくはここで、ずっとこのまま…?

パンとして生まれたのに、誰にも食べてもらえないなんて、
そんなの、悲しすぎるよ。。。

朝露の滴

朝陽を浴びて輝く朝露の滴
私の輝ける時間は、本当に短い。
夜が明ける少し前、静かな空気の中で、水蒸気がゆっくりと集まり、私はそっと草の上に生まれる。

朝日が昇ると、世界は一瞬で光に包まれる。
太陽の光を浴びて、私はキラキラと輝き出す。
まるで小さな宝石みたいに。

今日は風が穏やかで、私も安心してここにいられる。
風が強いと、草が揺れてしまい、私はバランスを崩して落ちてしまうから。
でも今日は違う。
夜明けの頃から静かで、太陽の光をたっぷり浴びながら、私はゆっくりと輝ける。

まわりの滴たちも、それぞれの葉の上で光を受けて輝いている。
この瞬間、この景色、このきらめき——
私たちはほんのひとときだけ、この世界を彩る存在。

でも、太陽が高くなり、温度が上がると、少しずつ蒸発していく。
私もそろそろ、その時が近づいてきたみたい。

だけど、また明日の朝、運が良ければ、違う葉っぱの上に生まれるかもしれない。
別の場所で、また同じように輝くことができるかもしれない。

だから、今、この一瞬を——
この輝きを、大切にしていたい。

サーフボード

朝陽で輝くサーフボード
ぼくは、このサーファーさんとずっと一緒に暮らしている。
彼が時間を見つけるたびに、一緒に海へ出るのが日常だ。

今日も早朝からやってきた。
冬の海だから、最初の一瞬はゾクッとするけど、それも最初だけ。
太陽が昇って、ぼくの表面がキラキラと光ると、一気に気持ちが高まる。
やっぱり、海の上がぼくの居場所だなって思う。

波はそこそこあるし、空気も澄んでいて、遠くには富士山。
天気は最高! これはもう、最高のライド日和だ!

波の上を滑る瞬間は、まさに至福。
仲間のサーフボードたちと「今日も来たね!」と心の中で挨拶を交わす。
時々、波の下を泳ぐ魚たちと目が合うこともある。
「おっ、今日もよろしくね!」

さあ、今日はどんな波に乗れるかな?
ワクワクしながら、ぼくはサーファーさんと共に海へ飛び込む。

じゃあ、行ってきます!